エンジンオイル
●エンジンオイルの役割
 エンジンオイルの役割として第一に挙げられるのは、潤滑作用である。ピストンとシリンダーのような摺動部分や、クランクシャフトと軸受けのような回転部分などの摩擦抵抗を生じる部分にオイルが薄い膜を張り、摩擦抵抗を低減する。第二には密閉作用である。ピストンリングとシリンダーのわずかな隙間をオイルが密閉し、燃焼時のエネルギーを余すところ無く出力して、クランクシャフトに伝えるのである。第三には冷却作用である。オイルがエンジン内を循環し、高熱部の熱を奪って冷却するのである(ただし、水冷の冷却水ほどには冷却しない)。第四は腐食防止である。 温度差などによってエンジン内にも水分が発生するため、オイルはそれによってサビの原因になるのを防ぐのである。第五には洗浄作用がある。摺動部分や回転部分で出た金属粉を、オイルフィルターで濾過するのだ。また、燃焼時に発生するカーボンなどが、バルブや軸受けなどに詰まるのを防ぐなどして、エンジン内部を洗浄するのである。
 4サイクルでは、以上の5つの役割があるが、2サイクルの場合はオイルが燃焼してしまうため、洗浄作用はあまり期待できない。


●エンジンオイルの経路 エンジンオイルの経路
 現在、4サイクルエンジンに採用されているエンジンオイルの潤滑方式は圧送式と呼ばれるもので、オイルポンプによってオイルが各部に送られている。この圧送式には、ウェットサンプとドライサンプの2種類のタイプがある。
 ウェットサンプというのは、エンジン底部のオイルパンにたまったオイルをポンプで吸い上げ、エンジンの潤滑部に送るシステムだ。オイルが循環するのはエンジン内部のみで、現在市販されているバイクのほとんどが採用しているシステムである。一方ドライサンプというのは、エンジンとは別個にオイルタンクが設けられていて、そこを拠点にオイルがエンジンに潤滑されるシステムである。
 2サイクルエンジンの場合は、基本構造が4サイクルと異なるためオイルの役割も異なる。オイルは2タイプ必要とされ、一つはガソリン、空気と共に混合気に混ぜられるエンジンオイル。これは燃焼室内における摩擦抵抗を緩和する役割と、混合着の燃焼率を向上させる役割を持っている。もう一つがギヤオイル。このオイルはミッション及びクランクケース内のギヤ及びシャフトに適応されるもので、4サイクルの場合と同等である。しかし、2サイクルエンジンは4サイクルエンジンのようにクランクから連動したバルブやカムシャフトがないため、オイルがエンジン内を循環すると言うことはないのである。


●オイルの粘度 ◆エンジンオイルの粘度表
 エンジンオイルの粘度とは、単純にオイルの硬さのことである。この粘度を数値として表したものが、オイルの容器に記載されている「SAE10W−40」などの表記である。これはSAEの粘度基準(おもりをつけた円盤を落としたときの速度で決まる)を表していて、10Wの“W“はWinterの頭文字で、低温時には10の年度を持っていて、高温時には40の粘度を持っていると言うことなのである。このように、Wが入って2つの数字が表記されているオイルのことマルチグレードオイルという。
 また、粘度の他にSEとかSFとか言う表示もある。これはオイルのグレードを表していてEよりもF、FよりもGの方が、高い規格に通っているということを表している。ちなみに頭のSというのは、ガソリンエンジン用と言うことである。使用するオイルの粘度、グレードはおのおののバイクに指定があるので、入れる前に確認しよう。
粘度を表記している数字が大きいほど、オイルは硬くなる。SAE20W−50の場合は、冬季は20番、夏季は50番程度の硬さになるということである。


●エンジンオイルの種類
エンジンオイルの種類には大きく分けて植物油、鉱物油、化学合成油の三タイプがある。この奈かで最もポピュラーなのが鉱物油で、単一粘度(シングルグレード)のものから、マルチグレードのものまで様々なタイプがリリースされている。
 科学合成油は、鉱物油を科学的に精製した優れたオイルで、基本的に高性能車向けのオイルである。5W−50などと言う広い粘度範囲を持ったマルチグレードオイルなどが、化学合成油の特徴である。
また、なかには半化学合成油というのもあり、これは鉱物油と化学合成油野合成油ということを表している。近年は技術の進歩にともないエンジンの性能はかなり高くなってきているため、多くのモデルが化学合成のオイルに対応できるようになってきている。
 植物湯というのは,準レーサーなど混合給油方式を持つ2サイクル車用にラインナップされているもので、粘度が著しく高いのが特徴だが、高同様の市販車にはあまり馴染みのないオイルである。



前のページへ       次のページへ